畳のやさしい香りと、どこか凛とした涼しげな表情。和室には、洋室にはない静かな心地よさがあります。

そんな和室で布団ではなくベッドを使ってみたいと考えたとき、畳との相性を心配する方も多いのではないでしょうか。

この記事では、和室に置くベッドの魅力や選び方、よくあるお悩みへの対策、空間を整えるレイアウトのコツまでをまとめてご紹介します。

 

「和室にベッド」の魅力

「和室にベッドはどうしても合わない」と感じる方は少なくないかもしれません。たしかに、和室には布団というイメージが根強くあります。

しかし、ベッドのデザインや高さに気を配ることで、和室の静けさを損なわず、モダンな空気を取り入れることもできます。

加えて布団の上げ下ろしの負担を減らしたり寝起きが楽になったり、空間に立体感が生まれるといった利点もあります。

「和室+ベッド」は、和の趣を残しながら現代の暮らしに合った、新しい和室の楽しみ方といえるでしょう。

 

和室をおしゃれに彩るベッドの選び方

和室との相性をよくするためには、ベッドの「形」「素材」「色」のバランスを意識することが大切です。

ここでは、和室に取り入れやすいベッドの種類や、寝具まわりで意識したいポイントを紹介します。

 

──圧迫感を与えない|ロータイプベッド──

かつての日本の住まいは、座卓や箪笥など床に近い暮らしが基本でした。和室の天井が比較的低めに設計されているのも、その名残といえます。

背の高いベッドを置くと天井との距離が縮まり、空間に圧迫感が生まれてしまうこともあるでしょう。

ロータイプのベッドであれば視線が低く保たれ、和室本来の落ち着いた佇まいを邪魔しません。また、壁が見える範囲が広がることで、空間に広さも感じられるようになります。

 

──すっきりした印象|ヘッドレスベッド──

ヘッドボードのないヘッドレスベッドも、和室との相性に優れた選択肢です。

ヘッドボードがないぶん視線がすっきり抜け、空間が広く感じられます。また、ヘッドボードがないことで「布団に近い印象」になるため、和室にも馴染みやすいといえます。

 

──い草となじむ|自然素材のベッド──

畳のい草と調和しやすい自然素材のベッドは、和室にもっとも溶け込みやすいタイプです。

たとえば天然木のベッドは木目の表情が畳の質感とよく合い、空間に高級感とぬくもりを添えてくれます。

また、ベッドマットレスを置く部分そのものが畳になっている「畳ベッド」もあります。

畳ベッドに折りたたみマットレスを組み合わせれば、日中はマットレスを片付けて小上がりとして使うこともできるなど、用途の幅が広がる点も魅力です。

 

──布団・枕カバーのデザインにも注目──

ベッド本体だけでなく、布団や枕カバーといったリネン類のデザインも、和室との調和を左右する要素です。

たとえば、旅館で使われているような中央がくり抜かれたタイプの布団カバーと、和柄の掛け布団を組み合わせれば、伝統的な和の趣を演出できます。

シンプルにまとめたい場合は、ベージュやグレー、生成りといったアースカラーが空間によくなじむでしょう。あえて赤や紫など、和のイメージを感じさせる華やかな色をアクセントとして取り入れ、ベッドを部屋の主役として際立たせるという演出もおすすめです。

 

和室ベッドのよくあるお悩み

和室にベッドを置く際、多くの方が気になるのが、以下の3つです。

 ● 畳のへこみ
 ● 畳の擦れ
 ● ダニ・カビの発生

ベッドの脚が畳に長時間荷重をかけることで畳の表面がへこんでしまうことや、ベッドを移動させる際にフレームの脚が畳をこすり、い草が傷んでしまう悩みは、「和室+ベッド」の空間において付きものです。

さらに、ベッドと畳の間は風通しが悪くなりやすく、湿気がこもることでダニやカビが発生しやすい環境になりがち。

これらは和室ベッドならではの悩みですが、いずれも対策が可能です。

 

畳+ベッドによる「へこみ」「擦れ」「ダニ・カビ」の対策方法

和室ベッドのお悩みは、ベッド選びや使い方の工夫で軽減できます。ここでは畳を傷めず、清潔に保つための具体的な対策を紹介します。

 

──【へこみ対策】畳に負荷がかからないタイプのベッドを選ぶ──

へこみを防ぐためにまず大切なのが、畳への負荷が少ないベッドを選ぶことです。

たとえば面で支えるタイプのベッドは荷重が分散されやすく、畳にかかる圧が一点に集中しにくくなります。逆に脚が細く本数の少ないベッドは、畳に深い跡を残してしまう可能性があるため、注意が必要です。

 

──【へこみ対策】ベッド下にマット・ラグなどを敷く──

ベッド下にラグや専用のへこみ防止マットを敷くことで、畳への負担を抑えられます。ホームセンターやインテリアショップでは、畳保護用のフェルトマットやコルクマットなど、気軽に取り入れられるアイテムも見つかります。

ベッドや畳の色になじむものを選ぶと、空間の雰囲気を損なわずに対策ができます。

 

──【擦れ対策】ベッドを引きずらない──

畳の擦れは、多くの場合、ベッドを移動させた際に起こります。

掃除のときに少しだけベッドをずらしたいといった場面では、ベッドを引きずらず、持ち上げて動かすことが大切です。頻繁に位置を変えたい方は、足元がキャスタータイプのベッドを選ぶ方法もあります。

ただし、キャスタータイプを使う場合も普段は固定し、それに加えてラグやマットを敷くなどのへこみ対策も、忘れないようにしましょう。

 

【ダニ・カビ対策】

湿気をためないことが、ダニ・カビ対策の基本です。

壁とベッドの間に隙間をあけることや、床板に通気性のあるすのこタイプのベッドを選ぶことで、ベッドと壁・畳の間の空気が通り抜けやすくなり、湿気がこもるのを防げます。

また、ベッド下に物を詰め込まないこともポイントです。空気の通り道を確保することで、ベッドも畳も、清潔な状態を保ちやすくなります。

 

和室にベッドを置く場合のレイアウト

和室にベッドを配置する際、基本となるのは「壁寄せ」の配置です。

6畳前後のコンパクトな和室であれば、部屋の隅にベッドを寄せる配置がおすすめです。

床面が広く見えるため、空間に余白が生まれ、開放感も増します。ただし壁にぴったりとくっつけすぎると、前述のとおり湿気がこもり畳がカビやすくなるため、わずかに隙間を空けることを意識しましょう。

 
10畳前後の広さがある和室なら、部屋の中央に配置する方法もあります。

ベッドの両サイドに通り道ができることで、ベッドへの上り下りもしやすくなり、シーツの交換などの手入れも快適に行えます。

空間の中心にベッドが据えられることで、インテリアの主役として自然に引き立つレイアウトとなるため、その他の装飾は控えめに取り入れるのがポイントです。

 

ベッドが置かれた和室をより華やかに見せる工夫

ベッド本体を選び、レイアウトを整えたら、最後は周辺のインテリアにも目を向けてみましょう。

ここでは、ベッドを置いた和室を、より魅力的に見せるための3つの工夫を紹介します。

 

──圧迫感を感じないようにその他の家具も背を低く──

和室にベッドを置く際は、ナイトテーブルやチェストなど、周辺の家具も背の低いものでそろえることが大切です。

家具の高さがそろうことで視線の流れが整い、空間全体に統一感が生まれます。ベッドのロータイプという選択を活かすためにも、他の家具もロースタイルでまとめてみてください。

 

──照明で落ち着いた雰囲気を演出──

夜の和室の表情を決めるのは、照明です。

たとえば行燈タイプのライトや和紙の素材を使ったスタンドライトを取り入れると、光がやわらかく広がり、旅館のような穏やかな雰囲気を楽しむことができます。

間接照明を上手に取り入れることは睡眠環境を整えることにもつながるため、和室での過ごし方に着目しながら照明計画を立ててみてください。

 

──植物・絵などは控えめに──

和室はそれだけで十分な雰囲気を持っています。そこにベッドという大きなアイテムが加わることで、すでに空間には強いアクセントが生まれている状態です。

そのため、植物やアートなどその他の装飾を取り入れる際は、控えめに配置することがポイントです。たとえばアートは一点だけ厳選して飾る、植物は枝ものや小ぶりな盆栽など和の趣を持つものを選ぶといった工夫を意識しましょう。

過度な装飾は、和室ならではの静かな雰囲気や厳かさを損なってしまうこともあります。

 

まとめ|和室にベッドを取り入れて、心地よい眠りの空間を整える

和室とベッドは、一見すると相反するもののように感じられるかもしれません。しかし、ロータイプや自然素材のベッドを選び、畳との関係性に少し気を配ることで、伝統的な和の趣と現代の快適さは無理なく調和します。

畳のやさしさに包まれながら眠る心地よい時間を、暮らしの中で楽しんでみてください。