ビジネスシーンにおいて、来客対応のマナーは把握しておきたい内容の一つです。第一印象は非常に重要であり、来客を迎える言葉ひとつで、その人の印象は大きく左右されます。

そこで、今回はお客さまを迎える際の基本のマナーについて解説します。適切な言葉でお客さまをお出迎えし、おもてなしの心を表現しましょう。

 

お客さまのご来店・ご来社時の言葉・マナー

お客さまがご来店・ご来社した際は、どのように対応すれば良いのでしょうか。お客さまが心地良い時間を店内・社内で過ごせるような言葉遣いやマナーを心掛けましょう。

 
──アポイントメントの確認──

お客さまが予約をして来られているのか、一瞬では判断できないときもあります。その際は、お客さまにお聞きしましょう。

「恐れ入ります。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「恐れ入りますが、ご予約のお客さまでいらっしゃいますか」

アポイントメントの有無を確認する際は、にこやかに対応しましょう。訪れたお客さまの中には、予約を取られていない方もいるかもしれません。そっけない態度で予約の有無を聞かれると「予約がないと歓迎してもらえないのか?」と思われてしまう可能性があります。

 
──アポイントメントのあるお客さまの場合──

アポイントメントのあるお客さまの場合は、予約の日時の確認しましょう。問題がなければ、以下の言葉でお出迎えをしてください。

「〇〇さまでいらっしゃいますね。お待ちしておりました」
「〇〇さまのお名前で、ご予約確認が取れました。ご来店(ご来社)、お待ち申し上げておりました」

 
──お待たせした場合──

せっかく訪れてくれたお客さまを、お待たせしてしまうシーンもあるでしょう。その際は、他スタッフにお出迎えが遅れてしまう旨をお客さまに伝えるようお願いしてください。

その後、以下の言葉で遅れたことをお詫びしましょう。

「お出迎えが遅れてしまい、大変失礼いたしました」
「お待たせしてしまい、申し訳ございません」

お詫びの言葉の後に、遅れてしまった理由を添えると、心象がより良くなります。

 
──こちらから来社・来店をお願いしている場合──

お客さまや取引先の方をこちらからお呼びし、足を運んでいただいたときには、以下の言葉でお出迎えしましょう。

「遠いところから足をお運びいただきまして、恐れ入ります」
「お忙しいときに及び立てをしてしまい、申し訳ございません。ご来店(ご来社)、感謝いたします」

先方は、わざわざ時間をつくり足を運んでくれています。スケジュールを自社のために割いてくれたことに関して、お詫びとお礼の言葉を伝えましょう。

 

会議室・商談室への案内時の言葉・マナー

入り口から会議室や商談室に移動するシーンも、お客さまへの心遣いを示す場です。適切なマナーで対応しましょう。

移動先へと案内する際は、まずは以下のように行き先について告げます。

「それでは、〇〇室までご案内申し上げます」
「さっそくですが、〇〇までご案内いたします」

移動先を告げたら、お客さまの2〜3歩ほど先を歩きましょう。この際、お客さまに対して斜め前の位置を歩くと、視界の端でお客さまの状態を捉えやすくなります。

お客さまが店内・社内をキョロキョロと見渡したり、何かに興味を惹かれている様子であったりする場合は、話題を振るのも良いでしょう。

会話の最中でも、段差などつまずきやすい場所がある際は「お足元、お気をつけください」と伝えることを忘れないようにしてください。

 

会議・商談時の言葉・マナー

お客さまを目的の部屋までご案内した後は、お客さまと顔を向き合わせた状態での会話が始まります。

なるべくスムーズに会話がスタートできるよう、お客さまの心をほぐす言葉をかけてみましょう。

 
──会話の糸口を探す場合──

席についてすぐにビジネスの話をしても良いですが、まずは雑談からスタートすることで、双方の緊張がほぐれ、和やかな雰囲気で商談に入れます。

会話の糸口は、季節や天気など、誰でも知っている内容を選ぶのがおすすめです。

「めっきり冷え込むようになりましたが、お身体の具合はいかがでしょうか」
「晴れの日が続いて心地よいですね。どこかお出かけには行かれましたか」

また、相手の趣味や特技に会話を持ち込むのも良いアプローチです。お客さまが返答しやすい内容から、会話をスタートさせてみましょう。

 
──打ち合わせを切り上げたい場合──

お客さまの中には、打ち合わせの時間を楽しく感じ、ついおしゃべりが長引いてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

会話を切り上げることを失礼と感じ、躊躇してしまう方もいるでしょう。しかしお客さまを思いやる姿勢で言葉を選べば、お客さまの気分を害することなく、打ち合わせを切り上げられます。

「楽しいおしゃべりで、時間が経つのをつい忘れてしまいました。あまりお引き止めしては、お客さまにご迷惑ですので、この続きはまた次回にいたしましょう」
「お話の最中に恐れ入りますが、この後、予定がございます。もっとじっくり〇〇さまのお話をお聞きしたいので、この続きはまたの機会に設けさせていただけないでしょうか」

 

お客さまのお見送り時の言葉・マナー

お客さまをお見送りするシーンまで、気を抜かずにていねいな対応を心掛けましょう。

「ありがとうございました。今後もどうぞよろしくお願いいたします」
「ありがとうございました。またのお越しを、心よりお待ち申し上げております」

お客さまが訪れてくれたことへの感謝の気持ちの言葉は、忘れないようにしましょう。また、お客さまをお見送りする際は、お客さまの姿が見えなくなるまで頭を下げているのが基本です。

エレベーターまでお客さまをお見送りする際は、エレベーターのドアが閉まってから2〜3秒の間は頭を下げた状態にしておいたほうが良いでしょう。ふいにエレベーターのドアが開いた際も、まだおじぎをしている姿から、ていねいなおもてなしの気持ちが伝わります。

 

まとめ

お客さまを迎える際、お客さまは迎え入れてくれた人のさまざまな様子を観察しています。その中でも言葉は、わかりやすくお出迎えの気持ちを伝える要素の1つです。

適切でていねいな言葉を選び、お客さまに心地よい時間を過ごしてもらうためのおもてなしをしましょう。