余白のあるインテリアとは、物を減らすことだけが目的ではなく、暮らしの中に心が休まるスペースをつくる考え方です。
どこに余白を残すかを少し意識するだけでも、部屋の見え方や過ごし方が変わってきます。
この記事では、インテリアに余白を加えるための考え方や取り入れ方をご紹介します。
「余白のあるインテリア」とは?空間を整える技術
空間における余白とは、ただ物を置かないスペースのことではありません。
視線が休まる場所や、動きやすさを生むための「ワンクッションとなるスペース」のことを指します。
余白をつくる際は、物を増やさない引き算を意識するだけでなく、どこに余白をつくるかも重要なポイントです。余白のある場所によって部屋の印象は大きく変わります。
余白をつくるポイント
余白のある空間にはまとまりを感じ、どこか整然とした印象を与えます。
しかし余白は空間のどこにでも、自由に作れば良いわけではありません。余白が正しく機能するためには、ポイントを押さえることが大切です。
ここからは空間に余白をつくる際のポイントを見ていきましょう。
──床の余白|家具は詰め込みすぎない──

床が見えている面積は、部屋の広さの感じ方、つまり余白の捉え方に直結します。
余白をよりしっかりと感じられるように、床を広く見せる工夫を取り入れてみましょう。
床を広く見せる方法として、家具を詰め込みすぎないことが大切です。空間いっぱいに棚やソファなどを置き、床がほとんど見えない状態をつくってしまうと、空間の余白は感じにくくなります。
また、床にラグやカーペットを敷く際も、大きさや置き場所に注意してください。床の大部分が隠れてしまうことで、空間に圧迫感が生まれ、ゆとりを感じにくくなります。
──壁の余白|「飾らない場所」を取り入れる──

壁は、余白の効果が最も表れやすい場所です。
アートや棚をたくさん飾るとにぎやかになりますが、一方で視線が落ち着かず、どこを見ればいいのかわからなくなることもあります。
あえて何も置かない壁をつくることで、空間にリズムが生まれ、主役にしたい場所が引き立ちます。
──光の余白|照明で空間の「圧」を調整する──

余白は、物の量だけでつくるものではありません。照明の当たり方や影の落ち方も、空間の軽さを左右します。
明るさを必要以上に均一にせず、手元灯や間接照明を加えて、光の強弱をつくってみてください。照明の位置や強さ、影の有無などに変化をつけることで、空間に奥行きが感じられるようになり、余白を実感しやすくなります。
余白をつくるインテリアにおける、家具のルール

家具の選び方や置き方も、空間の余白づくりに大きく影響します。
ここでは、余白をつくるための基本的な家具選びのルールをまとめました。
──家具は軽やかなデザインを取り入れる──
脚の細いチェアや、床が少し見えるデザインの収納など、重たさを感じにくい家具は空間をすっきり見せてくれます。
インテリアに余白を加えたい場合は、こうした軽やかなデザインの家具を優先して取り入れると良いでしょう。
家具そのものが主張しすぎないため、周囲の余白が生まれ、視線が自然と部屋を流れるようになります。
──主役家具を決める──
部屋に置く家具のすべてを目立たせようとすると、視線が散らばって落ち着かない空間になりがちです。
ソファやダイニングテーブルなど、「この部屋の中心にしたいもの」をひとつ決めることで、配置や装飾の判断がしやすくなります。
また、主役の家具を決めることは、余白をどこに残すかを明確にすることにもつながります。
──埋める場所は「8割」まで──
収納やディスプレイをすべてきっちり埋めると、圧迫感が出てしまいます。
棚に余白を少し残したり、床を広く見せる工夫を取り入れたりすることで、空間に軽さが生まれます。
あと少し置けそうな場所でも、あえて「8割で止める」ことが、長く心地よさを保つコツです。
──余白のある空間の魅力──

余白は「何もない部分」ではなく、暮らしの心地よさを支える大切な要素です。ここでは、余白がもたらす3つの魅力をご紹介します。
──視覚ノイズが減り気持ちが落ち着く──
余白があることで視線が休まる位置が生まれ、部屋全体が静かに整って見えるもの。必要なものが自然と把握しやすくなり、毎日の暮らしの中で「落ち着ける時間」が増えていきます。
また、見える情報が少ないほど頭の切り替えがしやすく、帰宅後の気持ちの切り替えにも役立ちます。生活のリズムをスムーズに整えたい人にとっても、余白の存在は大きな助けになるでしょう。
──部屋の自由度が高まる──
物がたくさん置かれた部屋では、模様替えや新しい物を加える際、既存の家具やアイテムをどこに移動するのか、悩んでしまうこともあります。
空間にあらかじめ余白を設けておくことで、新しい家具を置いたり配置を変えたりしやすくなり、暮らし方の変化にも柔軟に対応できます。
気分に合わせて家具は一を調整したい方や、季節ごとにインテリアデザインを変える店舗などでは、空間のレイアウトには余白部分を設けておくと安心です。
まとめ|余白が空間を整え、居心地を良くする
余白をつくることで、部屋の印象だけでなく、そこで過ごす時間の質も変わっていきます。
視線が落ち着き、好きなものがより魅力的に見えるようになる。そんな小さな変化が積み重なると、そこで過ごす時間をもっと好きになれるでしょう。
すべてを完璧に整える必要はなく、まずはひとつ、余裕を残したい場所をつくるだけでも十分です。心地よい空間を育てる一歩として、「余白」を取り入れてみてはいかがでしょうか。