1940〜60年代のアメリカを中心に広がったスタイル「ミッドセンチュリーモダン」は、今もなお、世界中で根強い人気を誇っています。

シンプルでありながら、どこか遊び心を感じさせるデザインや機能美が共存する造形など、ミッドセンチュリーモダンのインテリアに心惹かれる人は、少なくありません。

そんなミッドセンチュリーモダンは、住宅だけでなく店舗や商業空間でも多く取り入れられており、深みや高級感、遊び心を演出するのに適したテイストです。

この記事では、ミッドセンチュリーモダンの基礎知識から代表的なブランド、そしてインテリアとして取り入れる際のポイントまでを幅広くご紹介します。

 

ミッドセンチュリーモダンとは

「ミッドセンチュリーモダン」とは、1940〜60年代を中心に誕生したスタイルです。第二次世界大戦後のアメリカを中心に広がり、「暮らしを豊かにしよう」という思想から生まれました。

ミッドセンチュリーモダンのデザインの特徴は、装飾を抑えたシンプルさにあります。1940年以前まで重宝されていた重厚で華美な家具とは異なる、新しく誕生した軽やかなデザインに、当時、多くの人々が心を奪われました。

また、人々の暮らしに寄り添った機能性を備えているのも、ミッドセンチュリーモダンの魅力です。新時代に突入し誕生したプラスチックや成型合板といった軽くて扱いやすい素材を活用することで、持ち運びがしやすく、それでいて傷や汚れに強い家具が誕生しました。

現代でも、ミッドセンチュリーモダンのデザインは幅広い世代に愛されており、店舗やインテリア、ホテルなどでも多く見かけます。

 

ミッドセンチュリーモダンの代表的なブランド

ミッドセンチュリーモダンの世界を語るうえで欠かせないのが、当時のデザイナーたちとともに名作家具を生み出してきた、家具ブランドの存在です。

ここでは、現在でも世界中で高く評価されている代表的なミッドセンチュリーインテリアのブランドを紹介します。

【ハーマンミラー(Herman Miller)】
チャールズ&レイ・イームズやジョージ・ネルソンなどの名作家具を多数輩出した、アメリカを代表する家具メーカー。

【ノール(Knoll)】
ミース・ファン・デル・ローエやエーロ・サーリネンらとともに、彫刻的で洗練されたデザインを数多く生み出してきた老舗ブランド。

【ヴィトラ(Vitra)】
スイスの家具ブランド。イームズ作品の正規ライセンス生産を行っており、ヨーロッパにおけるミッドセンチュリーの普及にも大きく貢献。

【ザノッタ(Zanotta)】
イタリアの前衛的な家具メーカー。遊び心と芸術性を融合させたデザインが特徴で、空間に個性を加えるアイテムが揃う。

これらのブランドは、現在でも復刻版やリプロダクト品が数多く流通しており、商業空間や住宅インテリアの両方で活用されています。

 

ミッドセンチュリーモダンのインテリアをつくるポイント

ミッドセンチュリーモダンの魅力を空間にうまく落とし込むためには、デザイン上の工夫が必要です。

ここからは、ミッドセンチュリーモダンのインテリアをつくるためのポイントを、解説します。

 
──家具は「名作」を一点投入するのが基本──

ミッドセンチュリーモダンを象徴するような名作家具は、それひとつで空間の印象を大きく変えます。

複数のアイテムを並べるよりも、インパクトのあるチェアやテーブルをひとつ選び、主役として際立たせると良いでしょう。

また、主役級の家具のまわりはシンプルに整えることも大切です。家具のデザイン性が際立ち、空間全体に品格が生まれます。

 
──カラーは大胆なアクセントを加える──

ミッドセンチュリーのインテリアでは、色使いにも特徴があります。

空間のベースはナチュラルウッドやホワイト、グレーなどでシンプルに整えつつ、そこにイエローやターコイズブルー、オレンジなどのアクセントカラーを取り入れて、当時のレトロ感と軽快さを表現しましょう。

 
──異素材ミックスでメリハリをつける──

木材とスチール、ファブリックとレザー、プラスチックとガラスなど、異なる素材を意識的に組み合わせることで、空間にリズムが生まれます。

ミッドセンチュリーモダンでは、新素材が登場した時代背景もあり、あえて対照的な素材をミックスするのが特徴です。素材のコントラストが引き立つことで、同じトーンでも単調にならず、奥行きとメリハリのある空間に仕上がります。

 
──余白を生かして「抜け感」を演出する──

ミッドセンチュリーモダンの空間では、家具そのものの存在感が強いため、周囲に余白を残すことがとても重要です。物を詰め込みすぎず、あえて空白をつくることで、洗練された「抜け感」が生まれます。

特に小さな空間では、余白が視覚的な広がりをもたらし、心地よさや高級感を演出するポイントになります。

 
──照明はデザイン性と柔らかさの両立を意識する──

ミッドセンチュリー期の照明には、彫刻のような造形美を持つアイテムが多くあります。

空間の明るさを確保するだけでなく、デザイン性のある照明を選ぶことで、インテリア全体の完成度がぐっと高まるでしょう。

 
──他テイストとの相性も考慮──

ミッドセンチュリーモダンは、意外にも他テイストとミックスしやすいスタイルです。

たとえば、北欧テイストと組み合わせれば温かみが増し、インダストリアルと合わせれば都会的なシャープさが加わります。ナチュラルやヴィンテージとの相性も良く、空間のテーマに応じて表情を変えられるのが大きな魅力です。

テイストを混ぜる際は、主軸をミッドセンチュリーに置きつつ、配色や素材で他要素を調整することで、統一感のある仕上がりになります。

 

まとめ|ミッドセンチュリーモダンの魅力を知ろう

ミッドセンチュリーモダンは、時代を超えて今なお愛され続けるインテリアスタイルです。

趣(おもむき)のある雰囲気や、現代にも通じる機能性などが高く評価されており、国外問わず、ホテルや店舗などで取り入れられています。

トレンドに流されず、ハイセンスで上質な空間づくりを実現する際には、ミッドセンチュリーモダンを、ぜひひとつの選択肢として取り入れてみてはいかがでしょうか。